吉野壽人さん

VISION 日中の相互理解を深め
正しく価値ある情報で
中国市場を動かす

サイバーマートジャパン株式会社 代表取締役

吉野壽人さん

1988年株式会社リクルート入社。在籍中は主にクーポンマガジン「Hot Pepper」の立ち上げから従事し、メディア創りと広告営業のキャリアを築く。2012年リクルート退職後、中国現地の広告会社にて中国ローカルに向けた、日本企業のマーケティング、プロモーションをサポート。これを機に、中国をターゲットにしたインバウンド向けプロモーションのビジネス構想を練る。2016年よりサイバーマートジャパン株式会社代表取締役に就任。

INTERVIEW

御社の事業展開と、インバウンドへの取り組みについて教えてください。

サイバーグループは1999年に中国・上海で創業、家電ショッピングモール事業を中心にさまざまな新しい事業を中国全土で展開しています。同グループにて2014年から海外事業を開始し、弊社はその日本法人として設立されました。
中国国内における有力メディアとのネットワークを強みに、日本企業のブランディングから販売まで、一貫したソリューション提供を手掛けています。具体的なサービスとしては、中国最大の上海浦東国際空港と事業提携し、空港搭乗口で来日直前の中国人観光客に対してフリーペーパーを手渡しで配布するというMedia・広告事業を運営しています。さらに、専門領域に特化した中国国内のWebサービスと事業提携し、日本企業の商品・サービスの価値を正しく伝えるプロモーション事業を展開しています。

吉野社長のこれまでのご経歴をお聞かせください

リクルート時代の主な仕事は、2000年にスタートしたHot Pepper事業です。事業の立上げから参加し、ゼロスタートの新規事業が500億円/年の事業に約5年で成長する中で、営業、営業組織づくり、メディア創り、新サービスの立上げなど、さまざまなポジションで経験を積ませていただきました。これは私がリクルートから頂いた本当に大きな財産です。
リクルートには2012年まで約24年在籍したのですが、海外事業については1995年ごろからずっと興味は持っていました。ちょうど海外新興国の勢いが耳に届きはじめ、一方で日本の閉塞感がクローズアップされだしたころでした。ホットペッパーの仕事も12年、一段落し、次のことを考えていたタイミングで非常に幸運なことに、中国で起業したリクルートの同僚が私の経験を買って誘ってくれたのです。言葉もできない人が海外で事業をするという向こう見ずさは、さすがに私にとってもためらいを覚える部分はありましたが、最終的にはこのチャンスが持つ魅力が勝り、結果「中国で事業をする」という、保証もなくリスクも大きい選択に飛び出してみました。

中国に行かれてからはいかがでしたか?

中国では現地の広告会社にて、日本企業の商品をプロモーションする仕事をしていました。中国で仕事をして、まず感じたのは中国の持つエネルギーです。周りの中国人はみんな起業意欲があり、サクセスストーリーを狙っている。そのために必死になって頑張る。また、中国では合理的、契約優先、家族主義なのですが、どちらかというと「会社主義」の日本と比べ、こちらの方がむしろ世界スタンダードではないかと感じました。出てみてわかった日本の持つ特殊性ですね。私自身、初めて日本を客観的に見ることができました。

インバウンドに携わることになったきっかけは?

中国現地で在中日本企業のプロモーションを手掛けていましたが、2014年から訪日数がどんどん伸びてきたと同時に、日本からの中国でのマーケティングに関する問い合わせが増えてきました。ただ、問い合わせの内容には現地のニーズとのギャップが少なからずありました。中国ではSNSやメディアの規制も大きく、日本で狙った広告が実際には現地消費者に伝わらない、ということが多々あります。新たに現地でメディアを立ち上げるということは難易度が高く、うまく現地メディアと組むことがカギになります。そういう経験を経て中国でのネットワークを築いてきた過程で、現地メディアを活用したインバウンドプロモーションの構想が描け、日本に戻ってからよい縁に恵まれ、今の事業をスタートさせることができました。

これからの事業展開は?

中国の方が日本に求めるものは年々変わってきます。個人旅行からリピーターも増え、モノから体験へ、都市部から地方へ、より細やかで深い、そして新鮮な情報、本物の情報を求めていらっしゃいます。さらに、それを適切な形で届けていかなければなりません。そういったことが、訪日客の新しい行動、新しい消費につながっていくと考えます。弊社の強みは現地メディアとのネットワークにありますが、今後さらに専門性の高いメディアと事業提携を広げ、専門特化した商品やサービスのプロモーションを増やしていくことを考えています。

採用にあたりどのような人材を求められますか?

弊社は中国資本の企業かつベンチャーなので、安定や常識を一歩踏み出して新しい面白いことをやりたいと思える人に合っていると思います。リスクテイクがストレスになるような方には難しいですね。中国での経験などは全くなくて良いのですが、この国を知りたいと思う気持ち、可能性を感じられるかどうかは大事です。どの領域においても一定のビジネス経験と自身の強みがしっかりある方を求めています。広告や営業の経験でなくても、「これだけは人に負けない」というものを持っている人に会ってみたいです。クライアントは日本企業ですので、やはり日本でのビジネス経験、日本企業の仕事の仕方がわかっていないと難しい部分があるのも事実です。

業務においては、お客様の持つ課題を理解し、持ちうる最善の知識を出してお客様に成果をもたらすことを目指せるかどうか、そこの期待値調整ができるかどうか、そういうプロセスづくりが大切です。お客様にどれだけ向き合えるか、ですね。そういう経験をしてきた人、またはそういう仕事の仕方ができる人、が理想です。

メッセージ

中国と日本の間に政治上の問題があることは認識しています。それでもこれからも人と人との交流をベースにした経済面での結び付きは強まり、日中間のビジネスチャンスは拡大すると私は考えます。中国という極めて大きな市場に向き合うにあたって、日本が持つ商品・サービスの価値や魅力を、受け手を理解しながら、的確に伝えていくことが極めて重要です。そしてその実現の基盤になるのが「人の力」です。両国のことを深く知る、知ろうとする、私たちが介在することで、私たちのサービスが価値を発揮し、中国、日本の双方の方々の役に立ち喜んでいただける。そしてこの事業経験は他の国との間にも拡げていくことが可能です。「日本」という枠を超えて、世界のさまざまな国と仕事ができる人材に成る。
そのような事業、そのような環境、そのような自身のキャリアを一緒に創っていきませんか。

サイバーマートジャパン株式会社
日本Office
〒103-0016 東京都中央区日本橋小網町11-8
ザ・パークレックス小網町ビル4F
https://www.cybermartjapan.com/

やまとごころキャリア担当より

オフィスは日本橋、茅場町、水天宮前といずれの駅からもアクセスが良く、ビルの1階には「ラテアート世界チャンピオン」プロデュースのおしゃれなコーヒー店が入っています。インタビュー当日は東京でも積雪があった翌日でしたが、吉野社長はじめスタッフの方々にあたたかく迎え入れていただき、アットホームな雰囲気の中でお話を伺うことができました。オフィス内の一角にはオープンキッチンも設置されていて、社内の交流の場にもなっているそうです。
中国市場におけるプロモーション事業というと、人口13億人という雲をつかむようなマーケットに思えてしまいますが、実際には確実に日本に来るお客様にリーチする手法や専門領域に特化した媒体との連携など、具体策の部分についてわかりやすく解説いただきました。何より印象に残ったのは、日中間のビジネスの拡大は「人と人との交流がベースになっている」という吉野社長のメッセージです。穏やかな笑顔の内からも、この事業にかける熱い想いがあふれていました。